はじめに
PV820というピコポンプ(空圧式)を使っています。
この機器が設置してある場所が少し離れているので、吸引をON、OFFするたびに移動していましたが大変面倒でした。
最近、頻繁に使用するようになったのでPV820に付いている外部制御用の端子を利用して、離れていても吸引をON、OFFできるように回路を作りました。
作ってテストしたところ、吸引のON、OFFが安定して動作しません。
オシロスコープで出力を確認したところ、電源ONした瞬間に0[V] → +5[V] → 0[V]が出力される現象(ヒゲ)が見つかりました。
シュミットトリガ74HC14APの真理値表を見ると、入力Lowのときに出力Highになります。
そこで74HC14APの前にCR回路を入れて電圧変化のカーブを緩やかにし、入力の初期状態がHighになるように変更しましたところ、安定して動作するようになりました。
なお、当初はタクトスイッチを押している間、吸引をONしていましたが、ONの時間が長いため、トグルスイッチに変更しました。
PV820の動作
PV820のExternal Inputは+5[V] TTL-compatibleです。
また、TTLはBNCコネクタで入力するようになっており、TTLの立ち上がりで動作します。
回路図など
チャタリング防止回路
PV820の吸引をON、OFFの動作を安定させるためにCR回路を前段に入れて、74HC14APの初期状態を入力がHigh、出力をLowに固定しました。
動作が安定する抵抗とコンデンサの組み合わせを探しました。
×: 33[kΩ]、0.1[uF]
×: 100[kΩ]、0.1[uF]
〇: 200[kΩ]、0.1[uF]
このときの時定数は以下となります。
時定数 = 0.1[uF] * 200[kΩ] = 200[ms]
シュミットトリガ
東芝の74HC14APを使いました。
使う際に注意した点は以下の通りです。
- 「74HC14」の未使用の入力部は「High(+5[V])」又は「Low(GND)」にする。
- 誤動作する場合は「74HC14」の「Vcc」と「GND」の間にコンデンサ0.1[uF]を入れる。
- 機器が立ち下がりで動作する場合は、「74HC14」でシュミットトリガを2つ通して反転させる。
部品など
スイッチング電源は、COSELのYAS1005(YS505AやYAS505でも良い)を使いました。
+5[V]の単電源で、「-V」表記がGNDになっています。
その他の部品は以下の通りです。
- ネオン管 SATO PARTS BN-9-E - タクトスイッチ NIKKAI EB-2001 3[A] 125[V] AC - トグルスイッチ NKK M-2012 6[A] 125[V] AC - TTL単安定マルチバイブレータ 74HC123AP
TTL単安定マルチバイブレータ 74HC123APのパルス幅は、コンデンサと可変抵抗の組み合わせにしました。
今回は、T=40[ms]くらいにしています。
T = 0.45 * Cx * Rx
Cxを電解コンデンサ 1[uF]、Rxを可変抵抗 0~100[kΩ]にしたのでT = 0 ~ 45 [ms]となります。
T = 0.45 * 1uF * 100k T = 0 ~ 45 [ms]
さいごに
ICを使った単純な回路でしたが、TTLのパルス幅やチャタリング防止など安定動作させるには工夫が必要でした。
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