リミッタ回路で信号を1ボルト以下の電圧に変換する方法

工作

はじめに

使っている顕微鏡の制御パソコンは特殊で、搭載されているI/Oボードは±1[V]の信号しか受け付けません。
今回、ある機器から出力するAC/DC混合、50[kHz]、±10[V]の信号を入力したかったのですが、そのままでは入力できないので、±1[V]に変換するリミッタ回路を作ることにしました。
今回は、回路の検討と電源について紹介します。

検討した構成

ダイオードを使ってリミッタ回路が作れますが、制限電圧が±1[V]なので該当するツェナーダイオードがありません。

オペアンプで0.1倍してからACカップリングする、又はその反対を行うことも考えましたが、今回の仕様では
・プラス1[V]以上はプラス1[V]
・マイナス1[V]以下はマイナス1[V]
に制限すれば良いので、±1[V]以上の電圧はデータとして不要です。

図のように2つのリミッタ回路を考えましたが、案1を使います。

電源回路

電源回路はリミッタ回路と同じ箱に入れるので、スイッチング電源よりノイズの少ない電源トランスを使いました。
この回路は、三端子レギュレータを取り替えれば±5Vなども作れます。

赤色のLEDと抵抗は視覚化するためものです。
材料費を抑える場合は、平滑や発振防止などのコンデンサを削ります。

電源回路の材料

一般的な部品を使っていますので、秋月電子などで購入できます。

- 電源トランス 菅野電機研究所(株)SP-1802W
- トグルスイッチ NKK M-2012 6[A] 125[V] AC
- ネオン管 SATO PARTS BN-9-E
- ブリッジダイオード W02G 200V 1.5A
- 三端子レギュレータ +15[V] IC 7815
- 三端子レギュレータ -15[V] IC 7915
- 電解コンデンサ 25[V] 1000[uF] または 50[V] 1000[uF]
- 電解コンデンサ 25[V] 100[uF] または 50[V] 100[uF]
- 積層セラミクコンデンサ 50[V] 0.1[uF]
- 放熱器

リミッタ回路

リミッタ回路を作ってオシロスコープで確認したところ、20[kHz]の信号まではヒゲも目立たちませんが、50[kHz]付近では大きなヒゲが出ます。

オペアンプ TL074CNは帯域幅3[MHz]まで補償しているので大丈夫なはずなのですが、少し回路に問題があるのかもしれません。
ただ、実際に使うのは10[kHz]あたりなので、信号発生器とオシロスコープで10[kHz]付近の波形が問題ないことを確認しました。

しばらく運用したところ問題がなかったので、ACカップリングの有無を切り替えるためにスイッチを追加しています。
ACカップリングは、C=1[uF]、R=100[MΩ]の組み合わせで作っています。
遮断周波数1/2πCR = 0.0015915[Hz]
時定数CR=0.01[s]。

図中の赤点はオシロスコープやテスターでチェックするポイントを示しています。

材料

- オペアンプ TL074CN
  JFET(ジャンクションFET)入力、低雑音タイプのOPアンプ。
  LM324Nでは綺麗な波形が出ませんでした。

- ダイオード 1SS193(1S1588の代替品)
- MKH積層フィルムコンデンサ ACカップリング部に使用。

テスト構成

数の攻勢で信号発生器から信号を入れて、オシロスコープで確認します。

テスト結果

テストした信号をオシロスコープで表示しました。
sin波、振幅5[V]、Offset1[V]の信号を入力したときの波形です。

遮断周波数の1[Hz]に近づくに従って波形がなまってくるのが分かります。

ファンクションジェネレータから振幅0.5[V]、周期10[Hz]、Offset0.2[V]の正弦波を入力して出力を見ると0.5~1[ms]の遅れはありますがOffsetも消去されています。

まとめ

目的とする回路を作成することができました。
いくつか作ることになる可能性が高いので、品質を維持するには基板を設計したほうが良いかもしれません。

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